FRUITS ZIPPERについて、以前から少し気になっていることがあった。
この7人、名前がやたらと縁起良くないか。
別に姓名判断をしようという話ではない。名前に使われている漢字や、読み方から連想できる言葉が、妙におめでたいのである。
せっかくなので調べてみることにした。
なお、以下はメンバーの名前の由来を解き明かす記事ではない。語源的に関係のあるものもあれば、単なる偶然の一致もある。
名前をきっかけに、勝手に世界旅行をするだけの話である。
真中まな — 願いを叶えるネパールの女神
まずは真中まな。
ネパールにはマナカマナ(Manakamana)という女神がいる。
ネパールのゴルカ地方にあるマナカマナ寺院は、願いを叶える女神を祀ることで知られる。名前そのものにも、願望成就という意味があるという。
真中まなとマナカマナ。
真中まなの由来はマナカマナかどうかは明かされてはいない。
グアムのプール 意外と深い
余裕で 溺れた
そんな日々だって思い出
わたし 生きてるんだからーっ!!
マナカマナカマナ
アゲてけ!パーティータイム!
こちらは少々不憫な女神様である。
仲川瑠夏 — ローマ神話の月の女神
続いて仲川瑠夏。
読み方は「るな」。
ラテン語の luna は「月」を意味し、ローマ神話では月の女神ルナの名前でもある。
そう、『美少女戦士セーラームーン』に登場する2匹の猫、「ルナ」と「アルテミス」はそれぞれローマ、ギリシャの月の女神の名前である。
月は世界各地の神話や信仰に登場する、実に神聖な天体である。
ちなみに、日本神話にも月の神様として月読尊(つくよみのみこと)が、太陽を司る主神・天照大神のきょうだい神として登場するが、彼のエピソードは……また別の機会に話そうかな。笑
月足天音 — 天上から聞こえる音楽
続いて月足天音。
月に、天に、音。
もう名前の中に天体と天空と音楽が揃っている。
「天音」という言葉からは、天上の音楽や神聖な響きを連想する。西洋なら天使の聖歌、キリスト教文化なら賛美歌やゴスペルだろうか。
月の女神ルナに続いて、こちらも月が登場する。
しかも今度は天にまで昇ってしまった。
FRUITS ZIPPER、なかなか地上に降りてこない。
早瀬ノエル — クリスマスがやってきた
早瀬ノエル。
フランス語の Noël はクリスマスを意味する。
キリストの降誕を祝う日であり、誕生や祝福と深く結びついた言葉である。
もちろん、人名としてのノエルにもさまざまな事情があるだろうが、日本語の耳にもクリスマスを連想させる響きだ。
しかも「早瀬」という名字には、勢いよく流れる水のイメージがある。
生命を育む水と、誕生を祝うクリスマス。
鎮西寿々歌 — 寿ぎの歌
鎮西寿々歌。
まず「鎮西」という名字が格好良い。
「鎮西」は九州地方を指す歴史的な呼称でもある。古い日本の歴史を感じさせる言葉だ。
そして「寿々歌」。
「寿」は長寿や祝い事に用いられる、おめでたい漢字である。「寿ぐ(ことほぐ)」という言葉もある。
そこに「歌」がつく。
——寿ぎの歌。
まさに『超めでたいソング』である。
寿々歌、名前の意味がそのまま歌になっていた。
もはや何がめでたいのか分からないが、とにかくめでたい。
櫻井優衣 — 七福神スマイル
櫻井優衣。
「櫻」は春を彩る花。「優」は優しさ、「衣」は人を装うもの。
これだけでも十分に華やかな名前だが、彼女にはさらに強力なものがある。
七福神スマイル。
櫻井優衣の笑顔を形容する、おなじみの言葉である。
七福神といえば、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋。
実はこの七福神、日本で生まれた信仰でありながら、神々の出自は実に国際的である。
大黒天・毘沙門天・弁財天はインドに由来し、福禄寿・寿老人・布袋は中国に由来する。恵比寿は日本の神である。
つまり七福神は、インド、中国、日本の宗教や文化が交わることで成立した、幸福のオールスターチームなのだ。
しかも7人。
FRUITS ZIPPERも7人。
別に両者を対応させようというわけではないが、ここまで来ると偶然すらありがたく感じられる。
松本かれん — 松竹梅の筆頭
最後は松本かれん。
「松」は、言うまでもなく松竹梅の松である。
冬にも緑を保つ常緑樹として、古くから長寿や不変、吉祥の象徴とされてきた。
「本」は木の根元を表す字でもある。
松の根元。
なんだか末永く栄えそうである。
そして「かれん」という響きには、「可憐」という言葉を重ねたくなる。
寿々歌が「目出度い」名前なら、かれんは「愛でたい」名前である。
いずれにしても、ありがたや……。
これで7人全員。
願望成就、月の女神、天上の音楽、クリスマス、超めでたいソング、七福神、超愛でたい。
FRUITS ZIPPER、どう考えても縁起が良い。
そもそも果実は神聖だった
ところで、ここまでメンバーの名前ばかり見てきたが、グループ名の「FRUITS」にも注目したい。
果実というものは、古くから世界各地の神話に登場する。
ギリシャ神話では黄金のリンゴが不死や美、争いと結びつき、ザクロはペルセポネと冥界の物語に登場する。
中国では桃が不老長寿の象徴となり、日本神話にも魔除けの力を持つ桃の実が現れる。
ブドウもまた、豊穣や生命力を象徴する果実として古くから親しまれてきた。
果実はただ甘くておいしいだけではない。
花が咲き、実がなり、種が次の命を生み出す。
生命の到達点であると同時に、新しい生命の始まりでもある。
そのため、豊穣、誕生、再生といった象徴を託されてきたのだろう。
実に神秘的である。
「実を結ぶ」から日本神話へ
ここで、FRUITS ZIPPERの公式プロフィールを見てみよう。
そこには、FRUITに「実を結ぶ」、ZIPに「元気を与える」という意味を込め、二つを組み合わせてグループ名をつけたと説明されている。
なるほど。
そもそも「実を結ぶ」が公式コンセプトだった。
ならば、この「結ぶ」という言葉にも注目してみたい。
日本神話の始まりを記した『古事記』には、天地開闢の際に出現する三柱の神が登場する。
天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。
高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)。
神産巣日神(カミムスヒノカミ)。
いわゆる造化三神である。
このうち二柱の名前に含まれる「ムスヒ」は、万物を生み出し、生成する力と関わる言葉として理解されている。
古語の「むす」には、生じる、成長するといった意味がある。「苔むす」の「むす」もその一例である。
「結ぶ」と「ムスヒ」の語源的な関係については慎重に考える必要があるが、いずれも生成や結びつきを考えるうえで興味深い言葉だ。
そして現代でも、造化三神は「縁結び」と関わっている。
縁結びのパワースポットとして名高い東京大神宮があわせ祀っているのが、まさに造化三神なのである。
人と人が結ばれる。
努力が実を結ぶ。
植物が実を結ぶ。
それぞれ意味は異なるものの、「結ぶ」という日本語が持つ豊かさを感じさせる。
そういえば、プロデューサーの名前も
さて、ここでもう一人紹介したい人物がいる。
FRUITS ZIPPERのプロデューサー、木村ミサさんである。
木村ミサさんは、かつてアイドルグループのリーダーとして活動していた。
そのグループの名前は、
「むすびズム」。
そう。
「結び」である。
かつて「むすびズム」のリーダーだった人が、のちに「実を結ぶ」という意味を持つFRUITS ZIPPERをプロデュースすることになったのだ。
もちろん、二つのグループ名の間に意図的なつながりがあるかは分からない。
しかし、かつてアイドルとして活動した人が、今度はプロデューサーとして別のアイドルグループを育てている。
これほど「実を結ぶ」という言葉が似合う話もないだろう。
そして、もう一つ。
木村ミサさんの公式プロフィールには、誕生日がこう記されている。
1990年12月25日。
クリスマスである。
ちょっと待ってほしい。
7人のメンバーの中に、早瀬ノエルがいるではないか。
ノエルはフランス語でクリスマス。
そのノエルが所属するグループのプロデューサーは、クリスマス生まれ。
しかも元むすびズムのリーダーで、グループ名の由来は「実を結ぶ」。
出来すぎである。
おわりに
FRUITS ZIPPERのメンバー7人の名前から始まった話は、ネパールの女神、ローマ神話、キリスト教、インドや中国に由来する七福神を経て、日本神話の天地開闢にまで到達してしまった。
その先に待っていたのは、「むすびズム」の元リーダーで、クリスマス生まれのプロデューサーだった。
もちろん、偶然の一致を集めているだけである。
だからといって、彼女たちに神秘的な力が宿っているなどと主張するつもりはない。
しかし、偶然がこれだけ重なると、ちょっと楽しくなってくるではないか。
願いを叶え、月を照らし、天に歌い、誕生を祝い、寿ぎ、福を招き、末永く栄える。
そして、そのすべてが実を結ぶ。
FRUITS ZIPPERは、とても縁起が良い。
だからなんだって話だけど。
FRUITS ZIPPER・人物・楽曲
🧺FRUITS ZIPPER「PROFILE」 — FRUITS ZIPPER公式サイト。グループ名の由来、メンバー7人の名前、木村ミサ氏の経歴。
🍙アソビシステム「木村ミサ」 — 所属事務所公式プロフィール。1990年12月25日生まれ、むすびズム元リーダーであることを確認。
🍊FRUITS ZIPPER「超めでたいソング 〜こんなに幸せでいいのかな?〜」 — 公式ディスコグラフィー。
🥥真中まな(FRUITS ZIPPER) マナカマナカマナ 歌詞 — 歌詞ネット
ネパール・キリスト教・七福神
🥥Nepal Tourism Board「Manakamana Temple, Gorkha」 — ネパール政府観光局。マナカマナ女神と願望成就の信仰。
🍋CNRTL「NOËL」 — フランス国立科学研究センター(CNRS)系の言語資料。Noëlの意味とラテン語 natalis に遡る語源。
🍈国立国会図書館 レファレンス協同データベース「七福神の由来とは何か」 — 七福神の構成や各神の由来を確認するための参考資料。『国史大辞典』『日本仏教史辞典』等を案内。
日本神話・結びの信仰
🧺國學院大學「天之御中主神」 — 『古事記』における造化三神の位置づけと成立に関する解説。
🧺國學院大學「高御産巣日神」 — ムスヒの読み、生成に関する神格、諸説。
🧺國學院大學「神産巣日神」 — 造化三神の一柱。神話中の役割とムスヒの解釈。
🧺東京大神宮「東京大神宮の紹介」 — 造化三神を祀り、縁結びの御神徳があるとされる理由についての公式説明。
日本語の語源
🍊『精選版 日本国語大辞典』「めでたい」 — 「めでたい」が「愛でる」に由来することを確認。「目出度い」は当て字として説明されている。
🍑『デジタル大辞泉』「目出度い」 — 「めでいたし」からの音変化と、現代語の意味を解説。

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