スパガのピンクが、帰ってきた。――『エースの超絶カラー』をめぐる16年。

ピンクの子がいる。

SUPER☆GiRLSに新しいメンバーが入った。

2026年9月、7期生として加入したのは、新森二愛、二宮伶寧、浜田萌帆の3人。新曲『七色のパノラマ!!!!!!!』をきっかけに、久しぶりにスパガの動向を追い始めた私にとっても、楽しみなニュースだった。

とりわけ気になったのは、浜田萌帆(はまだ・もゆほ)ちゃん。愛称は「もゆちゃん」。担当カラーは「ミルキー・ピンク」だという。

ピンク!

思わず、ちょっと驚いてしまった。

以前掲載した記事で、自分は基本的に在宅ヲタであると述べた。とはいえ、まったく現場に行ったことがないわけではない。
【→ライフ・推し活・バランス――青葉楓花が在宅オタクである理由】

数少ないライブ参戦経験のあるアイドルグループの一つが、ほかならぬSUPER☆GiRLSだった。2017年頃には数度ではあるがライブに足を運び、当時のメンバーたちを実際に見ている。

だから、久しぶりのスパガには、なんとなく懐かしさがある。

しかし、ピンクの新メンバーに驚くというのも、おかしな話である。

アイドルグループにピンク担当がいるなんて、ごく普通のことではないか。そもそもスパガにだって、以前からピンク担当はいた。

では、なぜ私は驚いたのだろう。

少し昔の話をしたい。


超絶カラーに、意味はあるのか。

SUPER☆GiRLSでは、メンバーカラーを「超絶カラー」と呼ぶ。

普通のメンバーカラーと何が違うのかといえば、色の名前が妙に凝っている。単なる「赤」「青」ではなく、「シャイン・レッド」「ベイビー・ブルー」といった具合だ。具体的な色指定まで存在するのだから、なかなか芸が細かい。

長い歴史を持つスパガでは、メンバーの卒業と加入に伴い、同じ系統の色が何度も登場している。

例えば白。

初期メンバーの志村理佳から、4期生の樋口なづな、そして6期生の河村果歩へ。

歴代担当者を並べて、共通点を探してみるのも楽しい。

とはいえ、白はムードメーカーの色、赤はリーダーの色、というような決まりがあるわけではない。

赤担当だった溝手るか、渡邉幸愛、竹内ななみは、いずれもリーダーを経験している。しかし、ファンにとって溝手るかは、リーダーである以前にスパガの歌姫だったのではないだろうか。

結果的に共通点が見つかったからといって、それが色を割り当てた理由だったとは限らない。

そもそも超絶カラーの基本的な役割は、メンバーを識別することだろう。

一方で、歴代担当者を眺めていると、特定の人物との結びつきが強い色もある。

例えば、初代リーダー・八坂沙織のスカイブルー。彼女の卒業前最後のシングルが『空色のキセキ』だったこともあり、個人的には強く印象に残っている。

また、シャンパンゴールドの渡邉ひかる、シャインシルバーの渡邉幸愛、プレミアムブラックの田中美麗。

金・銀・黒は、これまでの歴代メンバーの中で、それぞれ一人しか担当していない珍しい色だ。もっとも、金銀は正確には色というより金属の質感を表す言葉でもある。黒と併せてペンライトでどう再現するんだ、という問題もありそうだ。

こうした色の歴史は面白い。

ただ、一人しか担当していない色が特別なのかといえば、何度も受け継がれてきた色にも、また別の特別さがある。

その代表が、ピンクではないだろうか。


ピンクは誰の色だったのか。

SUPER☆GiRLSの初代ピンク担当は、前島亜美。

「あみた」の愛称で知られた、初期スパガを代表するメンバーの一人である。

スパガ卒業後は声優・俳優・アーティストとして活動し、『BanG Dream!』の丸山彩役などでも知られている。

2010年の結成当時、前島はグループ最年少。そこから人気を集め、グループの中心人物となり、やがてリーダーも務めることになる。

私が当時のスパガを振り返るとき、やはり前島亜美の存在は大きい。

彼女の担当カラーがピンクだった。

だから、スパガにおけるピンクは、いつしかエースカラーとして認識されるようになったのではないか。

もっとも、最初から運営が「ピンクはエースの色」と定めていたという話ではない。

ピンクだからエースになったのではなく、エースだった前島亜美がピンクを特別な色にした。

少なくとも、そう考えることはできそうだ。

2017年3月、前島亜美はSUPER☆GiRLSを卒業した。

それに伴い、ピンク担当も空席となる。

ここで興味深い資料を見つけた。

2017年、あるスパガファンが書いたブログ記事、その名も『ピンクの行方』である。

この筆者は、前島の功績を称えるためにピンクを誰にも継がせない「永久欠色」という考え方と、誰かに継承させる考え方の両方を検討している。

後者については、プロ野球のエースナンバーの継承になぞらえている。

なるほど、背番号のようなものか。

同じ番号を背負う選手が、必ずしも同じプレースタイルである必要はない。しかし、その番号を見れば歴代の名選手が思い浮かぶ。

ピンクも、そういう色になり得るのではないか。

そして、このブログの筆者が継承候補として推していたのが、当時3期生だった阿部夢梨である。


青葉楓花は当時どう見ていたか

私がSUPER☆GiRLSに興味を持ったのは、2016年12月発売の『恋☆煌メケーション!!!』の頃だった。

この曲は前島亜美が参加した最後のシングルでもある。実際にライブへ足を運ぶようになった頃には、すでに彼女は卒業していた。

だから、私にとって「スパガのエース・前島亜美」という存在は、当時の映像や記録、そして後から知ったエピソードによる部分が大きい。

一方で、3期生については加入当初から注目していた。

特に阿部夢梨と木戸口桜子の二人には、次世代のスパガを担うだけのポテンシャルを感じていた。

その後、夢梨がグループの中心人物となり、エースとして活躍したことは、当時の印象からしても順当な成長だったと思う。

しかし、そんな夢梨が前島亜美のピンクを引き継ぐという出来事には、単に次のエースが育ったという以上の意味があった。

なぜなら、それは一人のメンバーの成長だけでなく、スパガの歴史そのものを引き受けることでもあったからだ。


ピンクを引き継いだ少女。

阿部夢梨は2016年、ストリート生からSUPER☆GiRLSの3期生として加入した。

当時13歳。加入時の担当カラーはベイビー・ブルーだった。

夢梨は加入以前から期待されていたメンバーで、3期生のお披露目では前島亜美自身がそのアイドル性を高く評価している。

そして夢梨にとっても、前島は憧れの先輩だった。

前島の卒業から約半年後、2017年9月29日。

阿部夢梨の超絶カラーが、青からピンクへ変更された。

普通、卒業したメンバーのカラーを新しいメンバーが担当することは珍しくない。

しかし夢梨の場合、すでに自分の色を持っていたにもかかわらず、その色を変更している。

これはなかなか特別な出来事だったのではないだろうか。

ちなみに夢梨自身も、変更前の質問回答で、希望する色として「ピンク」を挙げていたという。

憧れの先輩の色を受け継ぐ。

なんともドラマチックな話である。

……と言ってしまえば簡単なのだが、もちろん本人にとっては、それほど単純なことでもなかった。

2023年12月、卒業を目前にした夢梨は、自身の公式ブログ『追憶。』で、前島への憧れとピンク継承について振り返っている。

前島のリーダー像やアイドル像に共感していたこと。加入当初にツインテールばかりしていたのも、その影響だったこと。

そして、ピンクを受け継いだ当初、自分が簡単に受け入れられるとは考えていなかったこと。

自分の実力不足も感じながら、いつかピンクにふさわしい存在だったと思ってもらえるよう努めてきた、と記している。

かつてのファンが予想した重圧を、本人も実際に感じていたわけだ。

さらに興味深いのは、2023年7月の楽天チケットのインタビューでの発言である。

夢梨は、前島に憧れるあまり、ピンクを継承したときには同じようにならなければいけないと思っていたと明かしている。

しかし、その考え方を改める時期が訪れた。

そして後輩には、それぞれが自分の道を進めばよいと語っている。

ここが今回、私が最も興味を惹かれたところだった。

阿部夢梨は、前島亜美になろうとした。しかし、阿部夢梨になる必要があった。

前島のピンクを引き継ぐということは、前島と同じアイドルになることではなかったのだ。

その後、夢梨はグループの中心メンバーとなり、2021年にはリーダーに就任する。

その頃のスパガには、すでにストリート生という共通の育成組織を経ず、公開オーディションを通じて加入した、さまざまな経歴のメンバーがいた。

GEMでリーダーを務めた経験を持つ金澤有希のように、グループ内では後輩でも、年齢や芸歴では先輩にあたるメンバーもいる。

従来の先輩・後輩関係だけでは、グループをまとめられない。

こうした環境の変化が、夢梨のリーダー観にも影響したのかもしれない。

実際、金澤は2021年の公式ブログで、夢梨のリーダーシップを「完全実力主義」と評する一方、個々の得意分野を生かし、メンバーの不安にも向き合っていたことを語っている。

そして卒業を迎える頃には、自分たちの理想を後輩に押しつけるのではなく、残るメンバー自身が未来を決めてほしいという考えを示していた。

憧れの先輩に近づこうとした少女が、今度は自分に憧れる後輩に、自分と同じになる必要はないと伝える。

これもまた、継承の一つの形なのだろう。

2023年12月29日、阿部夢梨はSUPER☆GiRLSを卒業した。

前島亜美から続いたピンクの歴史は、ここでいったん区切りを迎える。


空席になったピンク。

夢梨の卒業後、スパガにピンク担当はいなくなった。

しかし、超絶カラーでは担当者の卒業後、新メンバーの加入まで同系統の色が空席になることは、言わば慣例であり珍しいことではない。

だから、この空白期間をもって、ピンクが特別に封印されていたと考える必要はない。

実際、その間もSUPER☆GiRLSは活動を続けていた。

先輩たちが卒業しても、新しいメンバーが加入し、グループの歴史は更新されていく。

そして2026年9月。

第7章の始まりとともに、ピンクが帰ってきた。

今度の担当者は、15歳の浜田萌帆。

最年少の新メンバーである。

ここで、ふと思い出す。

初代ピンクの前島亜美も、結成当時は最年少だった。

なんだ、原点回帰じゃないか。

もちろん、運営がそこまで計算していたかどうかはわからない。

しかし、2010年に最年少の前島亜美が担当したピンクを、2026年に最年少の浜田萌帆が担当する。

この偶然には、なかなか味わい深いものがある。

ちなみに7期生のほかの二人、新森二愛は「キラメキ・イエロー」、二宮伶寧は「ブルーム・クローバー」を担当する。

黄色といえば宮崎理奈に金澤有希。黄緑系統にも浅川梨奈や坂林佳奈といったキャラの濃い偉大な先輩たちがいる。

歴代担当者を並べれば、あれこれ共通点を探したくもなる。

しかし、それぞれのカラーに過去の担当者がいるからといって、新メンバーに同じ役割を求める理由にはならない。

黄色だから誰それのようになれ、という話ではないのだ。

ピンクだって同じことだろう。


「スパガさんのピンク」を感じる。

そんなことを考えていたところ、面白い投稿を見つけた。

2026年10月、アップアップガールズ(仮)の青柳佑芽が、浜田萌帆についてこう語っていた。

青柳佑芽といえば、「アイドル界NO.1 DD」を自称する自他ともに認めるアイドル好きとして知られる現役アイドルである。

そして、彼女が以前から熱心に推していた人物こそ、阿部夢梨だった。

2023年6月の公式ブログでは、夢梨のラジオ番組『SUPER☆GiRLS 阿部夢梨のナイスゆめり!!』が、自分をラジオ好きにしたきっかけだったと明かしている。

高校時代には、その番組を聴くことを楽しみに通学していたという。

さらに、自分が送ったメールを夢梨に読んでもらい、ツインテールをすることへの自信を得たというエピソードまである。

いや、相当な夢梨ヲタじゃないか。笑

そんな人が、新しいピンク担当を見て、「スパガさんのピンク」を感じたという。

これは、なかなか興味深い証言ではないだろうか。

青柳が何を見てそう感じたのか、具体的な理由はわからない。

前島亜美の面影なのか、阿部夢梨の面影なのか。あるいは、二人の歴史を通じて形成された、彼女なりの「スパガのピンク」というアイドル像なのか。

それでも、一つわかることがある。

スパガのピンクは、かつての担当者が卒業した後も、誰かの記憶の中に残っていた。

しかも、その誰かは今、自分自身もアイドルとして活動している。

色というのは不思議なものだ。

ただの識別記号のはずなのに、そこには人の記憶や憧れが蓄積されていく。

担当者が変われば、新しい意味が生まれる。

そしていつしか、別の誰かがその色を見て、過去の誰かを思い出す。

それは、本人たちが意図していなくても起こり得ることなのだ。


だから、自分らしく輝いて。

さて、ここで最初の疑問に戻ろう。

なぜ私は、浜田萌帆がピンク担当だと知って驚いたのか。

たぶん、私の中にも「スパガのピンク」というものがあったからなのだろう。

前島亜美がいて、阿部夢梨がいて、その二人が積み重ねてきた歴史を知っている。

だから、新しいピンクに驚いた。

でも、考えてみれば、前島亜美だって最初から「スパガのピンク」だったわけではない。

彼女が活動を重ねた結果、ピンクは特別な色になった。

阿部夢梨も、最初からその色にふさわしいと自信を持っていたわけではない。

前島に憧れ、悩み、自分らしいアイドル像を見つけた。

そして、ピンクは阿部夢梨の色にもなった。

だったら、浜田萌帆も同じではないだろうか。

これからどんなアイドルになるのかは、まだわからない。

歴代のピンク担当のようにグループの中心になるかもしれないし、まったく違う魅力を見せてくれるかもしれない。

どちらでもいい。

私たちファンが、そこに前島や夢梨の姿を重ねることはあるだろう。

それは、歴史のあるグループを応援する楽しみの一つだと思う。

けれど、その記憶に応える義務まで、新しいメンバーにあるわけではない。

何しろ、阿部夢梨自身が、かつて前島亜美と同じになろうとして、そうではないと気づいた人なのだから。

ピンクは前島亜美の色だった。阿部夢梨の色になった。そして、これから浜田萌帆の色になっていく。

歴史は大切だ。

でも、それは新しいメンバーの可能性を狭めるためにあるものではない。

だから、もゆちゃん。

ファンとしてはピンクという超絶カラーにいろんな思い入れも確かにあるけど…

あんまり気にしなくていいんじゃない?

自分らしく輝いてくれることを祈っています。


参考文献・資料

SUPER☆GiRLS公式資料

🌈SUPER☆GiRLS 公式サイト|PROFILE
グループの沿革、歴代の活動、新メンバーに関する基本情報。
🌈SUPER☆GiRLS 公式サイト|NEWS(2026年)
第7章の始動および浜田萌帆の加入、担当カラー「ミルキー・ピンク」の発表。

前島亜美・阿部夢梨に関する資料

💖前島亜美 Official Site|Profile
前島亜美の経歴および現在の活動。
💖BanG Dream!|丸山彩 キャラクター紹介
前島亜美が声を担当するキャラクターの紹介。
💖SUPER☆GiRLS 公式サイト|NEWS(2017年)
前島亜美が2017年3月31日をもって卒業する旨を告知した。
🌈rage30「【スパガ】ピンクの行方」
前島亜美卒業後のピンクの継承を論じた2017年のファンブログ。当時の受け止め方を知るための資料。
💕阿部夢梨「追憶。」|オフィシャルブログ「夢リズム」
ストリート生時代からSUPER☆GiRLS加入後までを振り返った本人の回想。
💕楽天チケット「SUPER☆GiRLS インタビュー」(2023年7月)
阿部夢梨が前島亜美への憧れ、ピンクの継承、自分らしいアイドル像、後輩への思いについて語ったインタビュー。
💛金澤有希「一度きりの初ワンマン!」|SUPER☆GiRLS メンバーオフィシャルブログ
阿部夢梨のリーダーシップやグループ内での姿勢を知るための資料。

ピンクの継承に対する反応

⤴️青柳佑芽(アップアップガールズ(仮))のX投稿(2026年10月10日)
浜田萌帆に「スパガさんのピンク」を感じたという投稿。
⤴️青柳佑芽「16.ラジオパーソナリティになりたいです!ってオーディションの自己PR欄に書いた」|公式ブログ
阿部夢梨のラジオ番組との出会いや、本人への憧れを語った記録。

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